I’m a Night Owl
風変わりで魅力的な存在
Pretty Things(プリティ・シングス)は1960年代前半のイギリスを代表するR&Bのバンドの一つ。
ローリング・ストーンズとよく引き合いに比較されることが多いが、商業的な成功や知名度では一歩及ばなかった。
バンド名とは裏腹に、彼らは意図的に近寄りがたい風貌を打ち出していた。だがその名に恥じず独自路線と金字塔を築きあげ、カルト的な人気を博した。
素敵な連中と共通点
ギタリストのDick Taylor(ディック・テイラー)はミック・ジャガーの同級生であり、シドカップ美術学校でキース・リチャーズと出会った。
1962年、彼らはローリング・ストーンズを結成し、テイラーは初期メンバーとしてベースを担当していた。
その後、ベースの演奏に不満を覚えた彼は学業に専念するため、ストーンズを脱退している。
1963年に同級生のPhil May(フィル・メイ)から誘いを受け、R&Bバンドを結成。
バンド名はボ・ディドリーの曲名『Pretty Thing』にちなみ、「Pretty Things」として正式に活動を開始した。
初期の代表的なメンバーは以下の5人。
Phil May(フィル・メイ):ヴォーカル
Dick Taylor(ディック・テイラー):リードギター
Brian Pendleton(ブライアン・ペンドルトン):リズムギター
John Stax(ジョン・スタックス):ベース
Viv Prince(ヴィヴ・プリンス):ドラム
おすすめからロックの金字塔まで
Rosalyn
後のパンクやガレージ・ロック先取りしたようなナンバー。後にデヴィッド・ボウイもカバーしている。
Don’t Bring Me Down
彼ら最大のヒット曲にして代表曲。過小評価されがちだが、グルーヴィーなR&Bがご機嫌である。
S.F. Sorrow Is Born
物語の主人公セバスチャン・F・ソローの誕生を描く一曲。ここから彼の人生を辿る物語が始まり、アルバム全体で物語を辿っていく。
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Midnight to Six Man
チャート上位は逃してるが、ファンからはガレージロックの傑作として評価の高いナンバー。当時のバンドマンの生活様式が伺える。
ダーティ・シングス
1960年代当時のイギリスでは長髪で挑発的なスタイルを貫く彼らは、ひときわ異彩を放っていた。
音楽性だけでなくメンバーの素行までローリング・ストーンズと比較されることが多かったが、彼らのサウンドとライブパフォーマンスはさらに粗野で荒々しかった。
観客も、決して大人しく聴くだけ終わらないこともしばしばあったという。
端的に言えば、ストーンズ以上に圧倒的にワルな存在感を放っていた。
似たようなスタイルがいた当時のシーンにおいても、彼らが強烈な印象を残したのは間違いない。
反骨精神の塊のような独自の路線が、彼ら特有の存在感を築き上げていった。
最初期のロック・オペラ
彼らの最高傑作として広く知られている『S.F. Sorrow』は、主人公が誕生から老いるまでの人生を描いた画期的なコンセプトアルバムだった。ロック・オペラの先駆けとしても知られている。
ザ・フーの『Tommy』に先駆けて発表されたことでも知られ、両作品の関係は後年も議論の的となった。
また、ビートルズのメンバーが度々レコーディング中にスタジオを訪れ、メンバーからリヴァプール訛りで激励を贈るなど、好評を得ている。
フィル・メイが書いた短編小説を出発点として発展したとされ、1967年から1968年の約1年間を費やして制作された。当時の彼らは心血を注いで制作に挑んだ。
現在では名盤として名高いが、当時はまだ先駆的な作品だった。レコード会社もその物語性を十分に打ち出さず、プロモーションも限られたため、商業的な成功には結びつかなかった。
しかし、時代を先取りしたその実験的な試みは、後のロック史を語るうえで欠かせないものとなった。
霧の中で彷徨いながら
メンバー間の争いも絶えず、メンバーチェンジを繰り返しながらもヒステリックなまでの独自路線を突き進む。その力強いサウンドはオンリーワンだ。
商業的な面では決して恵まれたとは言えない。しかし、それが却ってバンドのカルト的な人気を裏付ける一因とも捉えられる。
バンドの魅力は必ずしもヒットチャートに反映されるとは限らない。
まともな精神ではアートは生まれないとあるように、ぶっ飛んだものを生み出すにはお行儀よく治まってばかりもいられないだろう。
偏執的ともいえるこだわりの中に、紛れもない音楽性の高さが伺える。
ブルースの粗暴な一面を煮詰めた好戦的なサウンドと、したたかでありながら挑戦する姿勢。捻くれているようで、一周回って真っすぐなのかもしれない。
次回はThe Action(アクション)を紹介
その前にロックの海を少し寄り道することもあります。お楽しみに。