Some Other Band
リヴァプール最強の「爆音バンド」が放つ存在感
リヴァプール出身のバンドと聞けば、多くの人はビートルズを思い浮かべるだろう。
しかし1960年代初頭、地元ミュージシャンたちの間で最も恐れられ、尊敬されていたライブバンドは別に存在した。
その名はThe Big Three(ザ・ビッグ・スリー)
当時のリヴァプールではビッグ・スリーのライブは高く評価されており、ビートルズら同世代のミュージシャンもその存在を意識していたとされる。
The Big Threeとはどんなバンドだったのか
ビッグ・スリーは、1959年に結成されたCass & The Cassanovas(キャス・アンド・ザ・カサノヴァス)を母体として誕生した。
リヴァプール・サウンド(マージー・ビート)の黎明期を支えたグループの一つである。
特にライブステージでの熱量は群を抜いており、地元では最も迫力のあるバンドとして知られていた。
黄金期メンバーは以下の3人。
・Brian Griffiths(ブライアン・グリフィス):ギター
・Johnny Gustafson(ジョニー・グスタフソン):ベース
・Johnny Hutchinson(ジョニー・ハッチンソン):ドラム
当時のイギリスのロック界では珍しい“本格派ロック・トリオ”としても知られている。
なぜ彼らは恐れられ、尊敬されたのか。彼らのサウンドは洗練とは対極にある、荒削りで爆発的なR&B。しかし、それだけでは語れない魅力がある。
当時のファンで『彼らの演奏は耳が聞こえなくなるほどの大音量だった』と証言がある。
3人編成とは思えない厚みのあるサウンドは、リヴァプール随一と評された。
特にハッチンソンのドラミングは凶暴で、後年のプリティ・シングスやザ・フーの初期にも通じる“暴れるリズム”を先取りしていたと言える。
まず聴くならこの曲
Some Other Guy
後にビートルズも演奏したR&Bナンバー。ビッグ・スリー版はビートルズ版以上に荒々しく、クラブの熱気をそのまま閉じ込めたような勢いがある。
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数多くのアーティストにカバーされたサム・クックの名曲。演奏の激しさに注目されがちだが、力強いボーカルと息の合ったコーラスにもぜひ耳を傾けてほしい。
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ザ・マラソンズの曲をほぼ“破壊”する勢いでカバー。3人とは思えない音圧が体感できる。
※残念ながらビッグ・スリーは公式映像や公式音源の公開が非常に少なく、現在でも視聴できる資料は限られている。
それだけ当時の貴重なライブバンドでありながら、十分に再評価されていない存在とも言えるだろう。
ビートルズの影に埋もれた“もう一つの可能性”
キャヴァーン・クラブを中心に荒々しい演奏と圧倒的な迫力で知られ、他のバンドが嫉妬と対抗意識を燃やすほど強烈な存在だった。
ビッグ・スリーは全国的な成功には至らなかったが、その理由の一つとして「ライブの迫力がレコードに収まらなかった」ことが挙げられる。
活動期間は短かったものの、録音よりもステージで真価を発揮したバンドとして、リヴァプールのライブシーンを支えた存在だった。
今こそ聴きたい理由
現存する録音からも、彼らの荒々しく激しい演奏スタイルを十分に感じ取ることができる。
初期ビートルズやマージー・ビートに興味があるなら、一度は聴いておきたいバンドとしてまずは『Some Other Guy』から聴いてみてほしい。
リヴァプールの若者たちが熱狂した理由が、きっと少し見えてくるはず。
次回はThe Searchers(サーチャーズ)を紹介