So Sing Across the Mersey

半世紀以上歌い継がれる曲も道は一つだけではない

サッカー好きなら一度は聴いたことがあるだろう、リヴァプールFCのアンセム『You’ll Never Walk Alone』
邦題の『人生ひとりではない』になぞらうように、数多くのアーティストによって歌い継がれてきた名曲だ。
その中で最も広く知られているのがGerry and the Pacemakers(ジェリー&ザ・ペースメイカーズ)によるカバーだ。
今もゴール裏で歌い継がれ、ステージを超えてスタジアムの応援歌として根付いた特別な一曲だ。

穏やかな仲間バンドの筆頭

当時のリヴァプールでは、ジェリー&ザ・ペースメイカーズはビートルズにも引けを取らない人気を誇っていた。また、メンバーと分け隔てなく仲が良かったのも知られている。
当時の野心に溢れたタイプのバンドマンが多い中、フロントマンのGerry Marsden(ジェリー・マースデン)が尖ったタイプではなく、親しみやすくて温かい人柄も相まってバンドとその周囲の雰囲気も穏やかであったそうだ。

黄金期の中心メンバーは以下の4人。
Gerry Marsden(ジェリー・マースデン):ギター・ボーカル
Freddy Marsden(フレディ・マースデン):ドラム
Les Chadwick(レス・チャドウィック):ベース
Les McGuire(レス・マクワイア):ピアノ、サックス

マネージャーにブライアン・エプスタインとプロデューサーにジョージ・マーティンのバックアップを受けているのは有名な話であり、ビートルズの兄弟バンドとして売り出された。
アメリカン・ロックンロールやR&Bを基調にし、美しいコーラスワークと力強いビートの存在感でリヴァプールで一躍人気になる。洗練された甘いポップ・サウンドは、後のブリティッシュ・ポップにも影響を与えた。
ジェリーの人柄を反映したような、朗らかで明るいボーカルとキャッチーなメロディで親しまれ、マージー・ビートの代表格として挙げられる。

ヒットチャートからおすすめの曲達まで

How Do You Do It?

記念すべきデビューシングル。ビートルズのデビュー曲の予定だったというのも有名で、ジェリーは悪友のジョンに「No.1を逃したな」と電話したエピソードもある。

I Like It

初期マージー・ビートらしい陽気さとポップな魅力が詰まったラブソング。タイトルどおり、きっとあなたも「I Like It」と言いたくなるはず。

You’ll Never Walk Alone

ミュージカル『回転木馬』の名曲をカバー。当初はエプスタインとマーティンに反対されたがその反対を押し切りリリース、見事1位を獲得した。

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Ferry Cross the Mersey

地元リヴァプールへの愛が詰まった曲であり、マージー・ビートを語る上で外せない名曲。リヴァプールの象徴であるマージー川に人生をなぞらえたバラード。

英チャートのトップを独占した唯一の存在

ジェリー&ザ・ペースメイカーズで外せないのはデビューから3作連続で全英1位という前代未聞の記録を持つ。これはビートルズですら成し遂げていない偉業である。
メロディを重視したクリーンで明るいサウンドはリヴァプールの正統派ポップでストリングスを取り入れたバラードも美しく、後のポップス・アレンジメントの発展にも貢献している。

アメリカ進出の先駆者

ジェリー&ザ・ペースメイカーズはビートルズと並び、ブリティッシュ・インヴェイジョン初期を支えた存在でもある。1964年にはアメリカでも成功を収め、マージー・ビートの魅力を世界へと広めた。
彼らがアメリカ進出をきっかけに、後に続く形でイギリスのグループもアメリカ進出へと続いた。
ジェリー&ザ・ペースメイカーズは、ビートルズと並びマージー・ビートの魅力を世界へ伝えた存在だった。

後世でも歌い継がれるリヴァプールへの想い

冒頭でも述べたとおり、『You’ll Never Walk Alone』は現在でもリヴァプールFCの試合前に歌われ続けている。1960年代のヒット曲が半世紀以上を経てもなお、人々を励まし続けている例は決して多くない。
同列に語られる機会は少ないが、ジェリー&ザ・ペースメイカーズもまた、リヴァプールが生んだ“もうひとつの顔”だったのかもしれない。

次回はBuddy Holly(バディ・ホリー)を紹介