Do You Know the Voice?

ポップアイドルの秘密を知りたいかい?

レノン=マッカートニー作品を歌ったアーティストとして最初期に大成功した一人であり、ビートルズが世界的スターになる前から彼らを知る数少ない存在でもある。
彼らの弟分のような存在の彼こそ、Billy J. Kramer(ビリー・J・クレイマー)である。
クリフ・リチャード&ザ・シャドウズのようなシンガーにバックバンドの要素を取り入れたスタイルで人気を博し、甘いマスクと優しい声質で楽曲を素直に届ける表現力は、ビートルズとはまた違う魅力を発信していた。

見出された可能性とロックの遺伝子

地元リヴァプールのグループ、The Coasters(コースターズ)、後のThe Dakotas(ダコタス)のギタリストとして音楽活動の第一歩を踏み出す。リードシンガーの脱退、また、このタイミングでギターが盗難にあったためボーカルへと転向した。
ボーカルとして歌ううちに、次第にグループの顔となっていく。ブライアン・エプスタインの目に留まり、バンドもコースターズからダコタスへと組み直す。
ジョン・レノンの提案で名前に「J」を加えたとされ、「ビリー ・J・クレイマー」と名乗るようになった。

提供楽曲から挑戦した曲まで

Do You Want to Know a Secret

レノン=マッカートニー名義のデビュー曲。全英チャートでは2位まで上り詰めた。ビートルズ版よりアップテンポなアレンジも魅力。

Bad To Me

マージー・ビート史に残る名曲の一つ。隠れた名曲と言われがちだが、ビリーの優しい歌声と歌詞にぜひ耳を傾けてほしい一曲。

Little Children

ビリー自らヒットを確信してレコーディングに挑んだ曲。シンプルでありながら1960年代当時のキャッチーなメロディが印象的なナンバー。

最大の恩人であり、共に時代を駆け抜けた親しい友人たち

ビートルズの弟分として活躍したビリーは、彼らが社会現象となる時代をすぐそばで見ていた。
イギリス全土で行われたビートルズのツアーでは前座も務めている。
まだ神話になる前の彼らを間近で見ていた一人であり、同じ街の愉快で才能ある兄貴たちと慕って同じ時間を共にして時代を飾った。

レノン=マッカートニー作品だけでは終わらなかった

メンバー個人個人と親交を育む一方で、「レノン=マッカートニー作品だから売れた」という世間の声も少なくなかった。
メンバーとの交流の間に、ビートルズの名に頼っているとして自立への葛藤に苛まれていたが、自らレパートリーを広げて自身の代表曲を築き上げたことも、間違いなく彼自身の功績である。

マージービートを代表するシンガーの一人

ビートルズのようなシャウトやパワフルさはないものの、1960年代前半は絶唱型のボーカルが必ずしも求められたわけではない。
流行りも変わり、スタイルが時代の中心に外れていったのは事実だが、実力がなかったわけでもない。
ビリーの親しみやすく、メロディを美しく聴かせる優しい歌声は、その当時に求められていた需要に対してきちんと届けていた。

彼は純粋さや繊細な感情を伝える表現力において、マージービートを代表するシンガーの一人である。
レノン=マッカートニーの楽曲を歌っただけではない。その魅力を、自分自身の歌声で新たな作品へと昇華した。

次回はThe Swinging Blue Jeans(スウィンギング・ブルー・ジーンズ)を紹介

その前にロックの海を少し寄り道することもあります。お楽しみに。