Still I’m In Love

活気に満ちた陽気なマージー・ビート

The Fourmost(フォーモスト)は1960年代のリヴァプールのクラブ・シーンを代表するバンドの一つである。
彼らは派手な個性で押し切るタイプのバンドではないが、当時のリヴァプール・シーンを知るうえでは興味深い存在だ。
他のマージー・ビート勢と比べていわゆるお涙頂戴ではなく、陽気で親しみやすいメロディと引き締まったサウンドを兼ね備えていた。

ブライアン・エプスタインが見出した四人

当初はThe Blue Jays(ザ・ブルー・ジェイズ)やThe Four Jays and then The Four Mosts(ザ・フォー・ジェイズ&ザ・フォー・モスト)であったのをブライアン・エプスタインのマネジメントの元、バンド名を縮めて現在のフォーモストになる。
エプスタインの傘下に入ったことで、ビートルズ、ビリー・J・クラマー、ジェリー&ザ・ペイスメイカーズ、シラ・ブラックらと同じマネジメントの同門となった。

オリジナルメンバーは以下の4人。
Brian O’Hara(ブライアン・オハラ):ボーカル、リードギター
Mike Millward(マイク・ミルワード):ボーカル、リズムギター
Billy Hatton(ビリー・ハットン):ボーカル、ベース
Dave Lovelady(デイブ・ラブレディ):ドラム

1960年代のマージー・ビートには、哀愁やセンチメンタルな楽曲を持ち味とするグループも多かった。その中で、彼らは軽快で活気のあるメロディを得意としていた。
キレのあるギターサウンドとメロディアスなベースラインは高く評価され、R&Bやポップスのカバーにも定評があり、メンバー各々の個性を発揮していた。
デビュー曲にレノン・マッカートニーからの楽曲提供を受けたり、ジェリー&ザ・ペイスメイカーズが主演した映画『Ferry Cross The Mersey』にも出演するなど華々しい活躍ぶりを見せた。

ヒットから提供曲まで

Hello Little Girl

レノン・マッカートニーの未発表曲として提供されたうちの一つ。デビューシングルであり全英チャート9位のヒットとなった。

A Little Loving

ラス・アルキスト作による、彼らのキャリアにおいて最大のヒットナンバーとなった曲。少しの愛で今の時代にも届く名曲。

Baby I Need Your Loving

原曲はフォー・トップスによる名曲で、フォーモスト版は愛情深い歌詞とキレのあるアレンジが魅力となっている。

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The ‘In’ Crowd

ドビー・グレイのカバーで、R&Bやポップスのカバーを得意とする彼らの中でも人気が高く、洗練されたマージー・サウンドとして仕上がっている。

成功への追い風

エプスタイン傘下に入ったことで強力なバックアップを受け、EMIパーロフォンとの契約や出演機会など大きな後押しを受けた。
さらにデビューから2作続けてレノン=マッカートニーの未発表曲を提供されるという破格の待遇を受け、順風満帆なスタートを切る。
ロンドンではパレイディアム劇場で7か月にわたり開催されたバラエティ・ショーに出演。フランキー・ヴォーン、トミー・クーパー、同門のシラ・ブラックらと共演し、メインキャストとして舞台を盛り上げた。
彼らは派手な革命家ではないが、ライブハウスで観客を笑顔にし続けた職人肌のバンドだった。

活動の翳りと立ちはだかった壁

順風満帆に見えた彼らにも転機が訪れる。彼らは同年代のライバルバンドも直面した問題で作詞作曲ができるメンバーがおらず、カバーや外部からの楽曲提供に頼る状況にあった。
周囲が高度なサウンドへと成熟し、音楽性の深化、独自の路線に道を見出す中、従来のポップソングやカバーに傾倒していたのは、当時のトレンドから取り残される状況であったのは間違いない。
また、順調だった活動に追い打ちをかけたのが、リズムギターを担当していたマイク・ミルワードが1964年に喉頭がんと白血病を患い、亡くなったことでバンドの活動に致命的な打撃を受けたことだろう。
その後、1970年代はキャバレー・クラブを中心とした活動へと移している。

変化の中の不変と普遍

ヒット曲『A Little Loving』を最後にチャートヒットが途絶えたのと、メンバーとの今生の別れと不運が重なり、フォーモストは勢いを失い表舞台からは姿を消した。
しかし、後年の1980年代半ば以降、メンバーチェンジも経て1960年代のリバイバルブームにより復活を遂げている。オリジナルメンバーは不在となったが、現在も精力的に活動している。
彼らがあと一息と思わせられる要因として、目まぐるしく変わる当時の音楽シーンに取り残され、独自路線を確立する前に時代が大きく変わってしまった。
しかし、変わりゆく音楽シーンの中でも、自分たちのスタイルを誠実に貫いた姿勢こそ、フォーモストというバンドの魅力だったのかもしれない。

次回はCilla Black(シラ・ブラック)を紹介

その前にロックの海を少し寄り道することもあります。お楽しみに。