Act Naturally
60年代のイギリスのロックを語るとき、必ず名前が挙がるバンドがある。
The Beatles、The Rolling Stones、The Who…他にも挙げたらキリがないが、その中で積極的に語られない奇妙なバンドたちが存在した。
The Pretty Things、Them、The Creation、そして初期のYardbirds。
上記は一部に過ぎず、そして彼らはロックを語る上で主役にはならなかった。
だが、英国ロックが形を変える地下で確かに音を鳴らしていた。
英国ロックは最初から完成していたわけではない。誰もがまだ手探りで、演奏も歌詞も粗削りだった。それでも彼らは、ある型を真似るところから始めた。
Buddy Holly、Elvis Presley、Chuck Berry。
蓄音機やラジオから流れるその音楽に魅了され、自分たちも同じ音を鳴らしたいと願うのは時間の問題だった。
1人が弾き、もう1人が加わる。足りない音を補い合いながら音は少しずつ厚みを増していく。
地下のクラブや小さなステージで、見よう見まねのロックンロールが鳴らされていた。その音はただの模倣では終わらなかった。
地下で形を変えながら、少しずつ荒さ、皮肉、ブルースの影を取り込んで英国ロックは独自の姿を作っていく。
根強く残る制度や階級は日常に息づいていたが、彼らはそれを皮肉で笑い飛ばした。それでも収まりきらない衝動は、音楽という形で表に現れる。
同じラジオを聴き、同じレコードを回していても彼らの進む道は一つではなかった。
ロックンロールをそのまま鳴らそうとする者。
ブルースに深く傾倒する者。
日常の歪みを歌に変える者。
三者三様のスタイルが派生して各々が進む道を見出し、やがて別々の未来へと向かっていく。
アメリカ人が鳴らしたロックンロールを理解し、反芻し、そして自分たちなりに再構築する。
その過程の中で、英国ロックは初めて“英国的”な音を手に入れたのだった。
彼らはもうアメリカのコピーではなく、英国ロックとして羽化していく。